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執筆者の写真吉岡徹

デザインの領域

更新日:2019年1月16日

デザインの領域

人間(individual)は個として生まれ、人間同士の伝達に言語を心的装備として用い、自然(nature)の一部の生体として自然と融合し、また対決して生きてきた。言語は、自然の一部である人間が社会生活を営むための手段となるが、そこにはコミュニケーション・デザイン(communication design)としての工夫がなされる。一方、人間は厳しい自然のなかで生命を維持するために各種の道具(プロダクト・デザイン、product design)を考案してきた。これら、心的、道具的装備が環境的装備(エンバイロメンタル・デザイン、environmental design)と一体となって、はじめて人間が快適な生活をしていくための条件が整い文化(culture)が発展する。そこには各種多様なデザインが形成されるのである。それは結局、人間が存在するということは、デザインが存在するということになるのであるが、長い人類の歴史に比べ、デザインが社会の中で市民権を獲得した短い歴史では、その観点もまだ不明瞭にならざるを得ず、当然、デザインの分類も明確化することは難しい。その分類にも一定したものはないが、一般には①平面デザイン(二次元)、立体デザイン(三次元)、空間デザイン(四次元)、②ビジュアルデザイン(visual design)、プロダクトデザイン(product design)、スペースデザイン(space design)、タイムデザイン(time design)、ファッションデザイン(fashion design)、(図1.10)、および③工業デザイン、商業デザイン、建築デザインに分類する。



 一方視点を変えるならば、①大量生産方式を前提とする広義のインダストリアル・デザインと手工芸を主とする一品制作のクラフト・デザインに分ける場合、②大衆を対象として考えたインダストリアル・デザインと家庭生活あるいは個人生活を対象とするドメスティック・デザイン(domestic design)に分ける考え方、③公共の為のデザイン(design for public)と個人のためのデザイン(design for private)などに分ける場合、および,④材料や加工技術などにより、インテリア・デザイン(interior design)、ファニチュア・デザイン(furniture design)、カー・デザイン(car design)、ポスター・デザイン(poster design)、テキスタイル・デザイン(textile design)、木工デザイン(wood design)、陶磁器デザイン(plastics design)、ガラス・デザイン(glass design)、などに分ける。これらのことを考えると図1.11のように図示化できる。


この分類一覧図では単純化されてしまっているが、実際には各々のデザイン領域は交錯しあい、たとえばファッション・デザインは主としてプロダクト・デザインとビジュアル・デザインとエンパイロメンタ・デザインに、ファニチュア・デザインはプロダクト・デザインとビジュアル・デザインに、パッケージ・デザインはプロダクト・デザインとビジュアル・デザインに、ディスプレイ・デザインはビジュアル・デザインとエンパイロメンタル・デザインにかかわっている。

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