4・ 旗
旗は通常、長方形の布で作られ、その一端が旗竿、あるいは揚げ綱に結びつけられる.種類としてはスタンダード(standard)、バナー(banner)、エンサイン(ensign)、ペンダント(Pendant,あるいはpennant)、ペナン (pennon)などと呼ぶものがあり、当初は戦いや狩猟などに神聖なものとして吹き流しや何ら、かの物体をつけ、スタンダードと称した。古代エジプトでは王の行列の先頭に王を象徴したものを掲げたりした。古代ギリシャ・ローマでは棒や槍の先にふくろう、ペガサス、亀、鷲を石や木、金属に描いたり、布に描いたものを横木に吊り下げたりした。中世になると横木に正方形の旗(banner)が多用されたが、これは祭壇の飾りに用いられたもので、宗教的な意味が強く、儀式や祭壇に使われ、その大きさにより身分が表示された。
国旗のデザインは各国の独自のものが考案されているが、フランスの国旗は6世紀ごろに、それまでの青から赤の色の旗が登場し、18世紀になって青・白・赤の三色旗に制定された。イギリスでは白色に赤十字の旗を用いていたが、13世紀末に十字の重なった形になり、19世紀初期に現在のデザインに統一された。
日本では上代の頃から朝廷の儀式等に旗が使用されていたが、12世紀の源平の戦いで白旗・赤旗がはじめて武士の間で使われ、これが現在の旗の源流とされる。16世紀頃には戦場で具足の背に小型の旗や幟(のぼり)が使われ、本陣を表示するための「馬印し」が登場した。秀吉の「千成びょうたん」や家康の「日の丸つき金扇」などが有名である。江戸時代になると火消しの「纏」(馬印しともいわれた)、「幟」、「吹流し」が独特なデザインで登場。一方、大名行列には「槍印し」といい、槍のおおい方に工夫の凝らされたものが登場した。旗は、戦いのなかで敵味方の判断や味方の統率のために使い、遠目にも識別しやすいように記号的性格が強い。そのため、はためきやすく軽い布地で、両面の図柄が単純で同一のものが多い。
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