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執筆者の写真吉岡徹

形式の基礎理論・・反復・交替

更新日:2021年4月23日

反復・交替(alternation)

昼と夜,潮の干満,季節の変化などは永久に繰り返される。映画、演劇は「音」や「間」の時間的繰り返しであり、彫刻や建築では平面と曲面が空間において構造的に繰り返される。対象の同一要素が2つ以上配列されることを反復という。反復は強調の手段となり、反復が繰り返されることを交替という。反復と交替とは、対象と対象の感覚が近づきすぎると同化しやすく、離れすぎると対象同士の関係が弱まるので、適当な距離をとることが必要となる。

枠組内の図において、同質同形の場合には単調で変化に乏しくなる(図2.55a)。

図bのように図に変化をもたせると、単調な感じが薄れて、調和の中にも変化が見られる。しかし、図同士の形が異質すぎると、不統一で破調の構成となる(図c)。

反復と交替は規則的で単調になりやすい性質を持つから、部分的に強調となるアクセントをつけるとよい。アクセントは、ある部分を強調して全体的に緊張感を生じさせ、融和的で統一にかけた構成に変化をもたせる有効な手段となる。

反復・交替のデザインは壁紙や被服の図柄に多く、その単純で形式的な図柄は、ポスターや絵画とは異なり、独立して鑑賞されるべき性質のものではない。壁紙においてもあくまでも生活空間の中での脇役として、被服の図柄においても、デザイン・色彩・着心地に対して従的立場となる。模様が反復によって構成されたとき「文様」といい、その表現は、単純化しされ形式的で幾何学的模様となる。帯状となると二方連続、上下左右に広がると四方連続、唐草模様のように空間いっぱいに埋まった表現は、充墳形式となる。文様は時代や地域により特徴があり、系統や年代を考慮し考察することにより、実証的根拠が提示されるもので、日本の文様の場合は東アジアと西アジアの文様が基調をなしている。


                            

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