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執筆者の写真吉岡徹

形態の基礎理論

更新日:2021年4月23日

5、円、楕円

円は最初に発見された幾何学形態と言われる。古代人が円を発見したのは1本の杭に山羊をつないで結んでおいたとき、山羊が杭を中心に周囲の草を食べ、その食べ跡から円形を見つけると言われる。それはコンパスで円を描くのと同じ原理である。

ギリシアのピタゴラスが幾何学図形の中で円が最も美しいと述べているが、円は太陽、水の波紋、花の輪郭等は自然的形態の中に多く見られる。

古代ギリシャ人は円の面積を求めるのに、円の中心を頂点とした無限に近い三角形を作った。それは円の半径が一つ一つの三角形の高さになり、円周は無限に細分化された三角形の底辺の和になる。すると全ての三角形の面積の和が、その円の面積となる。つまり底辺の和(円周)に高さ(半径)をかけものとして円の面積を求めた。

円は平面形態のなかでも、最も静的で中心は完全に静止していて、縮小すると点となり、注視点となる。円はその整い過ぎた形が楕円や卵型に比べて「統一的」「厳格」イメージで日親しみにくい形ともいえるが、手書きによる円は有機的で優しいイメージを生じる。



円の大きさに変化をつけた構成(図、2,36)と楕円の大きさに変化をつけた構図(図、b)を比較すると後者の方が、はるかに距離感があり奥行きを感じる。このことは円と楕円を見比べてみると、円を手前から向かう側に動かしたのが楕円に見えることで理解できる(図、c)、円は楕円よりもう動的イメージを生じるが、dは大円の左下に接した小円は今にも動き出しそうである。eは円の接点を少しずつ、ずらして行くと動的で奥行感が強まる。しかしfのように同心円の構成は回転のイメージは希薄である。円は構成により、様々な表情を示すが、図2、3 7a)は中央の基円を任意に等分し、その等分点を中心とし、基円の縦中心線ABに至る長さを半径とする円を連続して描いたものであり、bは基円を任意に等分し、各等分を中心とし、定点Pに至る長さを

半径とする円を連続的に描いたものである。


                                

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