• 吉岡徹

形態の基礎理論・・形態の分析

更新日:2019年4月22日

形態の分析

 人間の生活空間は自然的事象と人為的産物によって形成される。それは、人間の内的な面と外的な面との統合されたものに、周囲の環境が関り、その形成要因は自然、人間、社会、文化となる。自然は人間の活動の場としてあり、社会は自然へ適応するための方策の結果として成立し、そこに文化が生まれ。文化は人間が生きていく上に計画を立てるための多様な方策を生み出すことになり、人間は自然の一部の生体として、自然の資源を基に環境に適応するように努め、食料、衣服、住居を得た。そこには自然に対しての恭と畏怖の念をもち、それに伴い種々の造形活動が行われてきた。しかし、工業化社会時代になり、自然を克服すべく、人々は自然環境を人為的に形成することに努力し、都市は、その集大成として、便利に快適に、安心して住めるように工夫が凝らされたが、実際は不自由で不満の充満した面が随所に生まれる事となった。他の動物よりひ弱な人間は、各種の道具の装備により、生命の存続を保ち生活を便利にし、最も強い動物となったが、その結果、各種公害や事故を生み、かえって生命の存続に負担をかけることになった。かつて古代の人々は貝殻や葉を器として、小枝を箸やフォークとして用い、鳥の巣や熊の穴を住居の参考にしたりしたが、それは実用的で機能性を第一義とした一方、トーテンポールや刺青などには、護符や信仰、呪術など、象徴的表現として心的装備を求めた。これらの表現の多くは、自然的形態を参考にしたものであった。自然的形態とは自律的に生成し、技術を必要としない形態で、植物などの有機的形態と鉱物などの無機的形態の2つに大別されるもので、それは人類が生命を存続していく上で、身近な存在であった。人々はこの自然的形態に手を加え、様々の工夫をこらし、生活していくための道具を作った。この人為的形態(artifical form)の創意工夫が文化の発展となり、プロダクトデザイン(product design)の誕生となった。

この人類の歴史の変還にくらべ本能的に生きる動は単に自然の進化を追tし、人間の様に社会の発展の歴史の中で造形行為を行う事、つまり、人間が生活デザインを含む文化によって歴史を変還するような行為は見られない、それが動物との根源的差であった。

 自然的形態や人為的形態は、我々が触覚的に知覚する可視的形態(visible form)、つまり、現実的形態(real form)である。これらの形態は、幾何学的形態(geometric form)である抽象的表現を示す観念的、不可視的形態(unvisible form)とは区別される。これらの形態をまとめると、次のように分類される。


形態は左図のように分類されるが、それは造形上における「形態」にかかわる意味解釈はどのように理解されるべきか、関連する言葉を分析してみよう。「形態」は「形体」と同様で、組織体としての対象を秩序ある「もの」として、外からとらえた「形」のことをいう。「形」とは外見にあらわれた姿、かっこうで、感覚、特に視覚、触覚でとらえることにより他のものと区別して、その範囲、大きさの感じられるものの全体の様子(ただし、色彩は除く)をいい、美術用語として使用する場合は色に相反する言葉となる。そして色と共に対象の視覚的体験を「形成」する感性要素の基本的概念であり、一般には対象の空間の自己限定といえるが、必ずしも、輪郭のような、視空間の抽象的限界のみを意味するものではない。「形」には型、容、貌、像、状、象、姿などの文字も当てられるが、英語ではshapeと訳し、これはゲルマン語のshapjanを語源とする。figure(英)は形、図、図解の意味をもつ、ラテン語のimagoを語源とするimage(英)は像、表象を訳し、ラテン語のpatronusが語源のpattern(英)は手本、柄と訳される。

「形態」はconfiguration(英)、forme(仏)、Gestalt(独)が美術用語として用いられるが、Ges-taltは心理学用語である。具体的形態の場合はform,抽象的形態の場合にはshape,figureと区別することもある。なお「形成」とは不完全ながら一応の形を成しているものを外部から必要なものを取り入れ次第に完成させることをいう。