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執筆者の写真吉岡徹

形態の基礎理論・・点

点の意義 点(point)は視覚表現において、最も簡単な最小単位の形態である。幾何学の定理によると、点とは本来空間に位置をもつが、広がりをもたない無(零)次元の非物質的存在で、最小極限的性格をもつ虚の世界の概念に存在するとされる。造形の世界では、この不可視的形態を可視的に表現するために、平面上に画具などで可視的に具現化して、はじめて成立する。

 

点は観念的には丸いものとされるが、図2・7のように、必ずしも円形ではなく、不整平面形でも点として解釈される。点が拡大した場合は平面の世界になるが、点であるか面であるかは、周囲の条件や他の形態との相関関係などによって判断される。つまり、形態の縮小ないし拡大化による形態上の分析は、状況の変化に従って概念が異なり、観察者の裁量に従うということになる。たとえば海上に浮かぶ。大な船も遠く離れるほどに点に見える。遠く離れた場所に立つ人も同様に点に見える。しかし、近くで観察すると船は甲板や船室があり、巨大な物体の存在となる。同様に人も、近くでは顔や体型が観察されて点の概念は消える。夜空に輝く星も一般には点としての概念をもつが、それは巨大な球体であり、その表面は岩であり、山であり、あるいは燃焼するガス体である。直径5㎝の円形は広いジュータンの面に模様として描かれれば点であるが、その上をテントウ虫がはった時、その虫にとって点の意味はない。


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