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執筆者の写真吉岡徹

形態の基礎理論・・直線の構成

更新日:2020年7月18日

直線の構成

線は点より動的表現を示す。図2.13aの複数の直線をずらした構成は、方向性や動きが1本の場合より強い。組合せに変化をもたせると、曲線的表現による方向性や動きが生じる(図b)。各線の端を接すると方向性や動きは消え、面が生じる事になる(図c)。図bのように数本の線が交差している部分は強い緊張感が生じ求心的な表現となる。反対にeは交差部分が欠落している為に、遠心的な広がりの表現となる。直線は枠組内において、その位置、角度の構成によりイメージが異なる。図fの場合、直線の位置、角度が不明確なために温和であるが平凡なイメージとなっている。図gは交差する斜線が緊張感を表しているが、区分された面積量が類似している為に平凡な構成で、イメージとしても強さが欠けている。図hは左下の枠組の角から右上に向かっている直線が上昇する勢いを感じさせ、もう一本の直線との組合せでシュパヌングがみられる。また、線は太さの違いにより、構成上のイメージが異なる。図iの場合、上の線は下の線を拡大したものであるが、上の線は下の線より近距離に感じる。しかし、極端に線の太さを変えて構成した図jの場合は、距離感よりも線自体の強弱のイメージが強い。線は太さや長さにより空間性、遠近性、方向性に変化をもたらすが、図k・1のように線の太さに関係なく奥行や距離感を表現もされる。

 

線の性格は、水平線は左右に、鉛直線は上下に斜方向線は斜上方向と斜下方向に動的表現を示すが、それ等の線の組み合せは視覚的リズム感を生じ、例えば直線が縦に配列された図2.14aは、配列された直線の間隔がリズムを生み、横の動きが表現される。図bの場合は縦の動きがみられる。図cの場合には上下の方向性と奥行き感が図a.bより強く表現されている。衣服の横縞の図柄は左右を、縦縞は上下を強調すると普通考えられ、肥った人、小柄な人は横縞を敬遠しがちだが、線の太さ(細さ)、色、間隔、量、角度異なったイメージが生じるから、一概に線の方向性や着用者の体型だけを基準に比較検討することは無意味な事となる。図2.15a b cのように、線の太さ、間隔、長さに変化を持たせると立体感や奥行き、動的な表現となる。



 直線は角度の異なる直線と一方の端を接することにより、その直線の方向性が弱まるか消失する。直角に構成された図2.16aの場合、垂直線の下方向に進む力は消滅し、図bの左側の線の方向性は弱い表現となっている。図2.17aは折れ曲がった角度の頂点に、下方向に向かう微小なシュパヌングがみられるが角度が大きい為左右に動く力が目立つ。bは直角に折れた頂点におい下方向に働くシュパヌングと左右方向に働くシュパヌングとが均衝し、静止した状態と示す。cは鋭角的な角度の頂点が下方向に強く働くシュパヌングが生じ、視覚的に矢印的で動的効果を表している。なお、直角は長さ、太さと比較してシュパヌングが生じる。


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