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  • 執筆者の写真吉岡徹

形態の基礎理論・・積極的形態と消極的形態

積極的形態を消極的形態


図2-6(I)aの2つの点の間には虚線が感じられる。これは(positive form)であり、線は消極的形態(negative form)となる。線の両端、その交差部分には点が存在するが、この場合、線自体は「実」の存在で、積極的形態となり、「虚」の存在である点は消極的形態となる。我々の眼に見える「実」的存在を積極的形態とすると、その周囲は「虚」的存在として、消極的形態となる。つまり、知覚し得る形態を積極的形態といい、観念的な存在の形態を消極的形態という。しかし、観念的形態である幾何学的形態などが記号化表示されたときには積極的形態となる。2つの点には線を感じるが、図bのように4つの点に構成された場合には虚面が感じられる。図cでは交差部分に虚点が、消極的形態として存在する。図dは点の集合により,図eは線の集合により虚面が感じられる。図(ll)のa,bは面を感じるが、図aは積極的形態の性格をもつのに対して、bは輪郭線だけの消極的形態の性格を示す。図(lll)aにおいて、凸状の形は「図」としての性格をもち、bのような凹状の地形は「地」の性格となりやすいが、これは同一平面上において、凸状の形は凹状の形と比べたときに優位の性格をもちやすいことから生じる現象である。cのように凸状の柱と凹状の柱とが交互にいりくんだように見える図形を見れば、凸状の柱は積極的形態として知覚されやすいので理解できよう。



 平面空間を限定しないが、平面で図(Ⅳ)aのように囲んだり、bのように立体の稜を残し格子状にしたとき、そこに消極的形態としての虚の立体が存在する。cのように完全に平面で立体を構成したとき積極的表現となり、図aと対称的に実の立体が存在することになる。

 生活空間において、われわれ自身を含め、眼に見える物を積極的形態とすると、その周囲は消極的形態となる。この両者は単独では存在せず、消極的形態と積極的形態は互いに依存しあい、独立した存在にはならない。





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