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視覚伝達・・各種の記号・・呪術的記号

執筆者の写真: 吉岡徹吉岡徹

更新日:2019年3月23日

1・呪術的記号 

 人類は二足歩行により、手や頭が発達し、様々な道具(product design)を工夫してきた。

それは身体の延長として考えられたものが多く、掌を合わせて水をすくうことは器として、額にかざして帽子の代わりにというように、人々は無意識の行動にデザインの原点を示す行為を示してきた。これら実用的な道具の工夫と別に、狩猟や漁労の実生活を洞窟の奥深い高所、動物の牙などに描いたり、乳房や腹部、腰部が誇張された眼鼻のない初期母神(図1-13)を作ったり


霊魂の存在をマスクに求め、悪霊を取り除こうとする行為が原始の時代にあった。これらは実用性のない、心的表現であり、その多くは自然の驚異に対する畏怖の念や霊魂の存在を信じる事から生まれ、原始信仰(animism)、呪術呪術

(magic)、崇拝(warship),護符(amulet)、呪符(talisman)などに結びついた。それらは赤は血、青は苦痛や悲しみ、白は平和や純潔、黄は喜び、黒は死という色彩的な表現による意味付けが示された。また、身体彩色や刺青などの表現により身分制度や階級表示が行われた。このような心的道具の表現の代表的なものに集団統率、伝達、日付などに用いられたトーテム・ポール(totem pole)があり、人々の象徴として各地で多く作られた。

 呪術的道具はやがて、植物や繊維を結んだりして複雑化し、日本の上代では梓(あずさ)の枝や糸を布片で玉結びにした玉梓をはじめとして、草結び、玉結び、貝殻やシュロの葉を用いた注連縄(しめなわ)などが登場した。沖縄では古くから尻長縄(チービナーツナ)が使われている。藁縄を結んだ戸籍表示や税金の計算、物品売買などの表現による方法が日本各地で行われた。また、スマトラでは木の皮と藁を、アフリカで木片や貝、羽毛と木を紐上にしてくくりつけ、悪霊を追い払う道具としたり、エジプトやギリシャでは五線星形(penta-gram)を船のへさきにつけ航海安全を祈願する例がある。日本でも清明判といって、正月に門につけたり、子供服に縫い付けたりして魔除けとしている。



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