• 吉岡徹

形態の基礎理論・形態の分析・曲線

曲線

曲線は幾何学的曲線(geometrical curve)と自由曲線(free curve)とに分類される。前者は数学的曲線(mathematical curve)ともいい、幾何学的に一様に描ける曲線のことで、「確実」「明瞭」のイメージをもつ。自由曲線は同じものを繰り返して描くのは難しい曲線で、図2.18a.bに示すC曲線、S曲線に大別され、イメージとしては「柔らかい」「派手」「優雅」で感覚的で情緒的な表現となる。無機的で理知的な表現となる幾何学的曲線に比べ、自由曲線は表現が多様で親しみやすい線である。



 円錐(circular cone)を平面で切断した時、その断面んに現れる曲線を円錐曲線(conicsection)という。2本の直線fとgを仮定し、gを軸として、直線fを、その周囲に回転させると、図2.19aのように直円柱が得られ、直線fとgとが、点oで交差している場合にはbのような直円錐が得られる。直円錐を回転軸に垂直に平面で切ると、その切り口は円(circle)、やや傾けると楕円(ellipse)となる。切り口を直円錐の1つの母線(generatrix)に平衡にすると、一方に限りなく広がる放物線(parabola)が得られる(図2.20).。つまり、円錐を切断する平面が円錐の軸となす角をa、円錐の直線面素が軸となす角(直角の二分の1)をQとするとき、a>Qならば切口は楕円、a=Qならば放物線、a<Qならば切口は双曲線(hyperbola)をなる。なお、円は円錐曲線から除くことが多い。

 円を1つの直線に沿って転がすと、波形曲線が描かれる。円の円周上の定点の場合はサイクロイド(cycloide)といい、とがった角を示す波形曲線となる(図2.21a)。円外の点の場合は高いトロコイド(superior trochoid)と言い波形曲線が巻いた形となる(図b)。円内の点ならば、伸びた波形曲線をなり、低トロコイド(inferior trochoid)となる(図c)これらの曲線はガリレイ(Galilei)が発見した曲線である(図2.22)



 曲線の中でも渦巻戦は数学的形態を示す。オウムガイの小部屋は等角もしくは対数渦巻状を示し、その曲線は常に半径の延長線と一定の角度で交差している(図2.23)。この対数渦巻線は象の牙、山羊の角、カナリアの爪などや、やや正確さは欠くがヒナギクの花冠にある小花の配列に見られる。ヒナギクの場合渦巻は右回りと左回りとが一組になって、それが一定の比率になっている。これは松笠やパイナップルの実などにも見られる「フィボナッチ数列(fibonacci series)」である。


極点の周囲を回転しながら接近したり、あるいは遠ざかっていく点が描く曲線の場合や、回転するレコードの中心に砂糖を置き、それを目がけて縁から蟻が一定の速度に近づいていくと、その移動の軌跡は渦巻線になる。この渦巻線は、極点からの動点の距離が等差級数的に増えていく事になり、アルキメデスの渦巻線(Archimedean spiral)という(図2.24a)。また、与えられた長さの3分の一を1とする正三角形を描き、Aを中心として、与えられた長さの三分の1のACを半径として全円周の三分の一の円弧C.C1を描く。次にBを中心として.C1を半径として全円周のC1.C2を描く、更にCを中心をしてCC2を半径として三分の1の円弧C2・C3を描く。この方法を順次続けると円弧渦巻線がえられる(図b)。図cは与えられた直線上の2点を半径として、互いに中心点にして、交互に描いて得た渦巻線、直線と曲線は、その組み合わせによりイメージも違ったイメージとなる。図2.25aは上にのびた右側の曲線が上昇のイメージを生んでいるが、図bのように曲線が下に向いていると、下降する暗い冷たいイメージとなる。球を空中に斜めに投げると放物線(図c)が描かれる。曲線の組み合せによる図dは、今にも回転するような様相を示している。図2.26は古代ギリシャの酒杯であるが、その底辺の放物線は美しい。