• 吉岡徹

形態の基礎理論・・バランス

バランス(balance) 2つ以上の要素が互いに釣り合いが取れ、安定した状態をバランスと言う。バランスは力学的には重さの関係をいうが、造形においては色彩・明暗・大きさ・質感等の感覚的な釣り合いの状態をいい、均衡・平衡・釣り合いと解釈される。


 バランスが取れている場合には、その表現は静的となり、特に左右対象のときには、より静的な表現となる(図2.62a)。この状態を均斉のとれたバランス(formal balance)と言う。反対にアンバランス(unbalance)な状態(図b)は、逆に動的で不安定になる。これを不均斉なバランス(informal balance)と言う。このアンバランスな図bの支点を図cのように、その支店をずらすと左右対象の形ではないが、バランスが取れた状態となる。面の項目の三角形の部分で前述したようにピラミッドは物理的・心理的に安定したイメージを人々に与えるが、モントリオールの博覧会のカナダ館のように逆ピラミッドの形は不安定でアンバランスな表現となる。平安時代や中世の西欧に見られる上軽下重の被服形式は非機能性で、装飾性を第一義とした独特の様相を示している。そこには「用」と「美」との極端のバランスが表現されている。


図2.63は18世紀頃の風俗描写で、当時流行した巨大な髪型を風刺した絵である。当時の服飾に対する概念は非常に装飾性の強いものを求めて、髪の頂と踵との等分点に顎があると言う極端なファッションが流行し、今から見れば異常なファッション形態であったが、当時の社交界においては最先端の装いとされた。しかし、着用者自身の行動は不自由を極め、扉を開けたり、馬車に乗ったりするのには大変不便であった。このような被服形態は当時の人々が頭髪を高貴の印として、注目を浴びる者として最適であると考えたことから生じた現象である。その結果今日では考えられる髪形・被服形態が流行した。