• 吉岡徹

形態の基礎理論・・群化の要因

群化の要因 視野内の2つ以上の図は、単独にそれぞれあるときに比べ、図同士がまとまって見えやすい。それは図が群化(perceptual grouping)し、体制下されるからである。視知覚の法則は、1890年にエーレンフェレス(C.V.Ehrenfels)によって喚起され、ケーラー(W.Kohler)、コフカ(K.Koffka)、レビィン(K.Lewin)、ヴェルトハイマー(M.Wertheimer)らによって研究された。ヴェルトハイマーは点や線など簡単な図形を例に、形自体が自ら秩序付けられ見やすいものとして、まとまろうとする群化と分離の現象が生じることを説明した。その後、ゲシュタルト心理学者たちは単に群化だけではなく、複雑な視覚の問題として、ゲシュタルトの法則(Gestaltgesetze)と呼んだ。群化の要因として、あげられるものに次の諸要因がある。

(1)近接の要因:距離の近いもの同士は1つの形にまとまりやすい。図2-100aのように、同一平面上に等質の形態を配置した時、近いもの同士がまとまりやすい。 (2)類似の要因:形や膝が類似しているものは群化しやすい。図bは斜線部分の楕円と白いと楕円とは、それぞれまとまって見える。図cそれぞれの図は6つの図形で構成されている。近接の要因から見ると左右に3つずつ構成されて見えるはずだが、図(ⅰ)は黒の小片と斜線の小片とが、図(ⅱ)は黒の小片と輪郭線の図形同士がまとまって見える。そして図(ⅲ)は大きい図形と小さい図形とが、それぞれまとまって見える。このように類似した性質のものは互いに引き合い結びあって、1つのグループを作りやすい。これらの例の場合には「近接の要因」よりも、「類似の要因」の方が強く働いている。色盲検査に使われる色覚検査図は、この原理を利用している。 (3)良い連続あるいは良い形の要因:良い連続をもつ図形は1つにまとまりやすい。図dの(ⅰ)は「近接の要因」から考えると図(ⅱ)のように見えるはずだが、波線と直線とに群が形成されて、図(ⅲ)のように見える。図eにおいても、図(ⅰ)は図(ⅱ)のように見ないで図(ⅲ)のように見える。図2.101aの(ⅰ)は図(ⅱ)のように組み合わせたものとしては見ないで、円と三角形との構成に見える。図bは虚線を知覚させる。これらの例は視覚的連続するもの同士は群を形成しやすく、単純で規則的な図形は、良い形として、まとまりやすい要因に当てはまる。

(4)閉合の要因:閉じた領域は1つにまとまりやすい傾向を持つ。図2.102aは8つの点を、図bは線を図として、それぞれ4つの群を作っている。図bにおいて、図cのように新たに8本の線を加えると、それまでの群(図)となっていた部分が地となる。次に図cに閉じた様相を与え、図dのようにすると、また、図形とが地が反転する。閉じた図形は開いた図形より有利な性質を持つが、我々は不明確な対象の間隔やスペースを本能的に、その部分を埋めようとする。図2.103は一見して、縞馬と判別しにくいが、観察者の経験に加え、閉鎖の要因より理解される。この閉鎖の要因は動物の保護色や軍隊腹の迷彩色などに見られ、周囲や背景に溶け込むようになっている。

(5)対称的の要因:対称な関係にある者同士は、群を形成しやすい。図2.104a,bの図を比較した時、対称的な形は非対称的なものより図形となりやすい。 (6)同じ幅の要因:同じ幅の図形はまとまりやすい。図2.105a,bを見比べると、幅が同じ部分は図形として浮き上がって見える。それは図c、図dを見れば、よ

り明確に理解される。 (7)経験の要因:図2.106aに示された(ⅰ)は(ⅱ)、(ⅲ)のような図形の合体したものとしても見えるが、普通は正方形の一角として見る(図b)。同じ現象として、図2.107a(ⅰ)は図(ⅱ)のようには見ない。同様に図2.107bの左側の図に含まれた右側の図を探し出すのは難しい。  この他にも、いくつかの要因が挙げられるが、視野は全体として秩序あるまとまりを形成しようとする傾向があり、体制化が成立する時、ゲシュタルト要因の中の1つだけが関係する事は少なく、その多くは、いくつかの要因が同時に存在する。それは最も簡潔で良い形にまとまるように、それらの要因が働く(prananzetendenz)。これをプレグナンツの法則(Law of pregnancy)と言う。