• 吉岡徹

色知覚・・残像現象

色知覚

残像現象

光の刺激が消滅した後も刺激の効果は残存するが、これを残像(after image)あるいは残効と言う。ストロボの光のような強い光刺激を受けた後に同形同大の刺激が眼の中に残る場合や、映画のように静止している1コマのフィルムが1秒間に24コマ以上の速さで次々と映写されることで静止状態の会が動いて見える場合を正の残像(積極的残像、positive after image)あるいは像の持続(persistence of image)と言う。正の残像はもとの像と同質の明るさと色相で、色彩的にも「正」となるが、この現象はやがて同形の反対色の負の残像(消極的残像、negative after image)となる。口絵1の黄色の中の黒点を見つめてから、右の白地の黒点に視線を移動するとアメリカの国旗が登場する。これは有彩色の負の残像で、眺めた色と補色関係となることにより生じる現象である。負の残像は加法混色における物理的補色に常になるとは限らず、少しずつれる場合が多いが、この場合、心理的補色対(psychological complementaries)とも言われる。負の残像が刺激色を取り去ったあと数秒後に現れ、補色残像が数秒続いた後、次第に消滅するが、その数秒後に再び現れる。


負の残像は明暗についても「負」で、刺激を与えた後、遠くの壁を見ると大きく、手前の白い紙などに視線を移動すると小さくなり、視線対象の距離により大きさが変わる。ルビンの壺(図3.1)の中心部を30秒程度見て、白い紙の上を見ると、白と黒の反転した図形が見える。有彩色の場合は色彩的に負の現象が生じるので、欧米の外科病院などでは手術中に赤い血の残像が壁などにちらつかないように、赤の残像となる薄い青緑色で壁面や手術用の服の色を統一し、残像現象による弊害を取り除くようにしている。